なぜ「ひとつの数字」が存在しないのか
「習慣が身につくまでどれくらいか」への正直な答えは幅であり、その幅の広さこそが研究結果です。フィリッパ・ラリーらが新しい毎日の習慣をつくる96人を追跡したところ、自動化までの中央値は66日でした。しかし個人差は18日から254日まで広がっていました。同じ研究の中で、最も速い人と最も遅い人のあいだに14倍の開きがあったということです。
両者を分けたのは、主に人ではなく行動のほうでした。朝食後にコップ1杯の水を飲むことはすぐ自動化されました。夕食前に腹筋を50回するのは、はるかに長くかかりました。3週間で習慣が身につかなかったとしたら、最も可能性が高い説明は、その行動にとって3週間がそもそも適切な目標ではなかった、ということです。
21日ルールはどこから来たのか
21日という数字は研究成果ではありません。出どころは『サイコ・サイバネティクス』(1960年)で、形成外科医マクスウェル・マルツが、患者が変化した外見に慣れるまでおよそ21日かかるようだと記したものです。これは変わった自己像に順応する話であって、習慣を形成する話ではありません。60年にわたり繰り返されるうちに法則のように固まり、のちの実測はそれを3倍の差で否定しました。
それを信じることの実害は具体的です。22日目あたりで人は習慣が「根づかなかった」と結論して やめてしまう。研究に照らせば、ちょうど道のりの3分の1を進んだあたりで、です。
実際に期間を縮めるもの
仕組みは、一定した文脈のなかでの繰り返しです。習慣は、安定した合図が、それまで意識的な判断がしていた仕事を引き受けはじめたときに生まれます。だからこそ、新しい行動を既存の避けられない行動にくっつけるほうが、時計で予定を組むより効くのがふつうです。やかんを火にかけた後。ノートパソコンを開く前。合図はやる気の有無にかかわらず発火しますが、9日目に当てにならないのは、まさにそのやる気です。
もうひとつのレバーは大きさです。最悪の日でも生き延びられるほど小さい行動は、いちばん大事な日、つまり調子の悪い日に繰り返しを積み上げます。そして上の見積もりが数えている単位は、その繰り返しです。 すでに続けている習慣にくっつける方法 →
1日抜けることは失敗ではない
同じ研究では、たまに1日抜けても、行動が最終的にどれだけ自動化されるかに測定できる影響はありませんでした。これははっきり言う価値があります。逆の思い込みがあまりに広く、あまりに高くつくからです。人は一度のつまずきを「試みが失敗した証拠」と受け取りますが、習慣を終わらせるのはやめることであって、つまずきではありません。 記録が途切れたあと何をすべきか →